リレーコラム

      ここでは、データヘルス計画に関わる管理者や専門職などの方々に、データヘルス計画の策定や保健事業の実施についてうかがった話をコラムとして掲載しています。

      Part1:SGホールディングスグループ健康保険組合におけるデータヘルスの取組とデータヘルス計画の策定

      SGホールディングスグループ
      健康保険組合:田浦課長(保健師)※
      ※取材当時の肩書

      Part2:データを戦略的に活用できる健保を目指して

      イノアック健康保険組合:
      名倉常務理事

      Part3:事業主、他組合との連携促進に向けて

      北陸電気工事健康保険組合:
      辰巳事務長

      Part4:健康ムーブメントの実現へ

      コニカミノルタ健康保険組合:
      渕上事務次長 大西氏(保健師)

      Part5:データヘルスのさらなる発展と有効活用に向けて

      日本航空健康保険組合:
      田口 常務理事

      データヘルスのさらなる発展と有効活用に向けて

       日本航空健康保険組合は、運輸業の単一健保であり、加入事業所は全国61ヶ所、被保険者数は約4万人、加入者数は約7万人にのぼります。また被保険者のうち女性が46.6%を占めているのが特徴です※1。同組合は、「平成27年度体力つくり優秀組織」として、文部科学大臣賞の表彰を受けるなど、組織的な健康づくりに積極的な健保であるとともに、日本航空(以下、JAL)も2015~2017年に3年連続で健康経営銘柄に選定されており、組合と事業主とが一体的に健康づくりに取り組んでいます。このコラボヘルス体制のもとで健康経営を推進している同組合において、データヘルス計画をより効果的に運用していくための方策、工夫や課題について、データヘルス計画策定に携わった田口常務理事にお話をうかがいました。

      ※1:平成28年度実績
      (2018年4月16日掲載)

      1.社員の健康第一の企業風土とコラボヘルスの取り組み

       当組合ではJALグループにおける健康推進プロジェクト「JAL Wellness」に基づいて保健事業を推進しています。本プロジェクトは母体企業の中期経営計画に合わせ、人財本部と組合とで議論・検討を重ねた上で策定・更新されています。「JAL Wellness2020」では従来から課題としてきた「生活習慣病」「がん」「メンタルヘルス」に加え「たばこ対策」と「女性の健康」をテーマに位置づけて推進しています。JALグループがグループ一丸となって健康を推進しているのは、パイロットやキャビンアテンダントを含む、様々な職種の社員の心身の健康が企業にとっても重要な財産であるからです。そのような企業経営層の意識が、社員の健康を重視する企業風土を生み出し、組合とのコラボヘルスを円滑に進めるための原動力となっています。

      日本航空健康保険組合:
      田口 常務理事

      2.より効果的な保健事業を実施するための創意工夫

       JALでは副社長を健康経営責任者(CWO:Chief Wellness Officer)と位置づけるとともに、人財本部の健康管理部と当組合とが協力して社員の健康づくりに取り組んできました。グループ会社が多く、職種も多岐にわたることから、当組合は単一健保でありながら総合健保のような特徴を持っています。また被保険者の約8割がシフト勤務であり、事業所も日本全国に散在しているため、個人へのアプローチが難しい傾向にあります。こうした課題を解決するため、CWOからのメール配信や社内イントラ・業務連絡ツールの活用など、企業の器を利用した取り組みを実施しています。
       「JAL Wellness2020」では達成すべき5つの成果指標を掲げていますが、その中に「適正体重維持率」があります。当組合は加入者の女性比率が高いという特徴から、太りすぎだけでなく痩せすぎも健康課題の一つとなっており、あえて「適正体重」という表現を用いています。このように保健事業を運営する中で得られた気付きから創意工夫を凝らすことで、加入者の健康増進につながるものと考えています。
       今後は、直接アプローチしづらい被扶養者や特例退職被保険者へ、いかに効果的な情報提供や働きかけを行うかが検討課題です。

      3.データヘルス計画の有効活用とポータルサイトへの期待

       第2期データヘルス計画では、各事業においてアウトプット指標、アウトカム指標を設定し、定量的な評価をもとに事業運営を見直し、改善していくこととなっています。しかし、データヘルス計画を作ること自体が目的となってしまっては、効果的な保健事業の実施にはなかなかつながりません。データヘルス・ポータルサイトが入力を目的とした単なる業務システムではなく、事業運営や見直しにより有益な示唆を与えるサイトになることを期待しています。例えば、他組合の事業の成功要因・阻害要因、費用や自己負担額などを閲覧できるだけでも計画策定時の参考になりますし、普段の事業運営の際にも見てみようと思えるサイトになるのではないでしょうか。また、保健事業の中身を標準化するだけではなく、組合独自の創意工夫や新たな事業創出にもつながるサイトになることを期待しています。たとえば、データヘルス大学などのアカデミックなコンテンツの充実や、データヘルス計画のレベル別コース分けの仕組みといった工夫をするとよいですね。