社員は家族
      社員の健康を企業の資本と考える経営者の取組み(東京都中小企業三社)

      社長と社員の距離の近さで、健康課題に直接アプローチ! 東京都福祉保健局は現在、職場の健康づくりを推進している。その中で、単一健保ではないため専門職がいない、大々的な取組みをする予算・人員が不足している等の理由から自社のみでは取組みが難しい中小企業に対して、外部機関を活用して自社の健康課題に向きあう取組みを紹介している。 下に紹介する三社は、いずれも職場の健康づくりに取組み、プラスの効果が表れている事例である。この三社は社員と経営者の距離が近く、経営者が全員に対して直接働きかけることができることや、全社的な取組みを即時適時に実施できるという中小企業のプラス面を活かし、企業を支える社員の健康づくりと日々向き合っている。

      きっかけは「自社でもできる」から~島村運輸倉庫

      島村運輸倉庫は、全社員が男性の運送会社。平均年齢は40歳前後とそれほど高齢化してはいないが、入社後に肥満になる社員が多かった。平成26年末、経営者が参加したセミナーで事業場に体重計を導入する取組みを知り、直感的に「自社でもできる」と感じたことがきっかけとなった。すぐに体重計の導入に踏み切り、毎日点呼時の計測、記録を実施。社内健康スポーツ大会も開催し、併せて協会けんぽ東京支部の保健師による講話と特定保健指導を実施している。結果、取組みを開始してから半年で社員の66%が減量を達成した。

      きっかけは従業員の体調悪化から~鳳自動車

      社員151名中男性が146名を占める鳳自動車は、タクシー会社である。タクシー乗務員の勤務は拘束時間が長く、食事時間は不定期。入社後肥満傾向になる社員があまりに多いことをきっかけに、全社員に対して「健診結果どうですか」などの声掛けをおこなうようになった。社員研修会でも健康に関する話題を提供。社員全員が協会けんぽ東京支部から指導を受ける等10年間の継続した取組みの中で、健診を受診するのは当然の風土ができ、社員同士で健康を意識した会話が行われるなど、社内の意識が大きく変化した。

      きっかけは従業員の負傷から~東京クリアランス工業

      総合ビル管理を主力事業とする東京クリアランス工業のきっかけは、夜勤明けの従業員が現場でけがをしたことであった。社員の平均年齢が60歳になる中で、従前の勤務形態では会社の継続的な発展が期待できなくなると危惧し、社員の健康を気遣う事業体制づくりに舵を切った。具体的には、勤務体系を見直すとともに、メニューの一環として地域産業保健センターを利用し、産業医の紹介を受けた。月1回、社内福利厚生メニューの一環として全社で魚を食べる会も開催している。